嫡出子とは、婚姻関係にある夫婦から生まれた子どものこと言います。
ちょっと言い難いですが、「ちゃくしゅつし」と読みます。
世の大半の子どもが嫡出子ですので、通常は「子ども」と言えば済むわけなんですが、わざわざこの呼び方をするときは、そうじゃない子どもと比較が必要な場合です。
相続がまさにソレに当たります。
嫡出子ではない子どもは、頭に非を付けて「非嫡出子」と言います。
いわゆる浮気、不倫相手の子ども、内縁関係の子どもが非嫡出子に当たります。
非嫡出子の母子関係については、ほとんどの場合は分娩によって当然なので、特に法的手続きは必要とされません。
一方、父子関係については、認知が必要となります。(民法779条)
さて、相続なんですが、このようにして親子関係が成立した非嫡出子は、親がなくなった時には嫡出子と同様に第一順位の相続人となり、分け隔てなく頭割りで法定相続分を得ます。(民法900条)
冒頭で、嫡出子という言葉を使うときは非嫡出子と区別されるときだと言いましたけど、少なくとも相続においては公平に扱われることになります。
もっとも、この扱いは結構新しくて、平成25年(2013年)9月4日に最高裁の違憲判決(法の下の平等に反す)を受けて、同年12月5日に改正する法律が成立し、同月11日公布・施行してからです。
それまでは、非嫡出子の法定相続分は嫡出子の二分の一とする文言があったんですが、それが削除されたわけです。
ただし兄弟間の相続では差が生じる
このように、第一順位である子どもとしての相続人の立場に嫡出子、非嫡出子の差はありませんが、兄弟の相続が回ってくる、すなわち第三順位として相続人となる場合は差が生じます。
「兄弟間の相続。親が再婚した人は注意。血が半分薄まると相続分も半分に減る」
これは、民法900条の、
「父母の一方のみを同じくする兄弟姉妹の相続分は、父母の双方を同じくする兄弟姉妹の相続分の二分の一とする」
という規定によるものです。
親が再婚をすれば、異父、あるいは異母兄弟が出来ることは珍しくもありません。
ですから、この規定は嫡出子・非嫡出子の違いをターゲットとするものではないわけです。
実際、非嫡出子と嫡出子のどちらが一方の二分の一の法定相続分になるかはケースバイケースです。