相続人の候補は、以下の4つの地位に分かれています。
- 子
- 親
- 兄弟
- 配偶者
1~3までの並びはそのまま相続の優先順位を示していて、これを相続順位といいます。
4ですか?
4は別格です。
配偶者に相続順位は予め振られません。
その理由を言う前に、まず相続順位の説明をします。
相続人を決める際の優先順位が相続順位です。
遺産配分の多い少ないとかではありません。
相続人であるか否かのオールオアナッシングです。
要するに1から3いずれかの一択。
1が相続人であれば、2,3は相続人ですらありません。
冒頭で相続人”候補”と書いたのはそういう意味です。
相続開始の時点で、1から順に存在をチェックしていきます。
存在つまり生きてるか?ってことです。
存在が確認されれば、確認作業はその地位で終了し、相続人はその順位で決まります。
それより下位の相続順位を調べる必要はないわけです。
では、相続順位を絵で確認しましょう。
絵で見ると、被相続人を基準にして、第一順位が下、第二順位が上、第三順位が横という位置づけになっています。
下、上、横、以上です。
一つひとつの相続順位をもう少し詳しく見ていきましょう。
第一順位 子 直系卑属
実子、養子の区別なく相続人となります。
相続の開始時点で子が亡くなっていても、その子ども(被相続人の孫)がいれば、親(被相続人の子)の相続権を引き継ぎます。
これを代襲相続と言い、引き継いだ者を代襲相続人と言います。
もし、孫も亡くなっていて、その子ども(被相続人のひ孫)がいれば同様に代襲相続が起きます。
これを再代襲と言います。
再代襲に制限はありませんが、現実はひ孫でもレアケースと言えるでしょう。
第一順位のことを、親族関係を表現する用語を用いて、直系卑属とも言います。
卑(いや)しいという文字が気になるかもしれませんが、家系図における下の世代という意味に過ぎません。
面白いのは出生前の胎児も相続人になるということです。(民法第886条)
胎児は代襲相続人にもなることが出来ます。
ただし、死胎の場合(出生届が不要)は、妊娠中に遡って相続人ではなくなります。
第二順位 親 直系尊属
第一順位に該当者がいない場合に限り回ってきます。
存命のうち、上の絵において被相続人により近い人が相続人となります。
例えば、母親と祖父母が存命であれば、母親だけが相続人です。
法的には上方向に制限はありません。
両親も祖父母もいなければ、曾祖父母が相続人になりますが、現実はほとんど無いことでしょう。
上方向に相続人が引き継いでいくことは、第一順位における下に相続人が引き継いでいく代襲相続と似ていますが、代襲相続とは言いません。
この第二順位のことを、親族関係を表現する用語を用いて、直系尊属とも言います。
第三順位 兄弟姉妹
第一順位、第二順位ともに該当者がいないときに限り回ってきます。
兄弟姉妹が亡くなっていても、その子ども(被相続人の甥や姪)がいれば、第一順位と同様に代襲相続します。
ただし、第一順位と違って、代襲相続は一代限りです。
再代襲はありません。
つまり、被相続人の甥や姪までです。
配偶者
妻や夫は常に相続人となります。(民法890条)
冒頭で配偶者は別格と述べたのはそういう意味です。
配偶者に、相続人か否かを判断するための順位は予め必要ないわけです。
配偶者以外に相続人がいる場合に、配偶者の相続順位はその相続人の相続順位と同じになります。(民法890条)
つまり、被相続人の子が相続人の場合、配偶者の相続順位は子と同じ第一順位。
被相続人の母親や父親、あるいは祖父母が相続人の場合、配偶者の相続順位は第二順位。
同様に被相続人の兄妹姉妹が相続人の場合は、配偶者の相続順位も第三位ということです。
また、配偶者に代襲相続は起きません。
例えば、被相続人の再婚相手が亡くなっている場合、その連れ子は代襲相続人にはなりません。
もちろん、連れ子と被相続人が養子縁組していれば、普通に子としての相続権があります。